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採集した花枝は海水を循環させた水槽に収容し、花枝についた小さな種子(右上)が黒く熟して落ちたら、回収・保管して種蒔きや育苗に用いる
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「クサフグは梅雨の大潮の満潮時の夕方、集団に波打ち際に押し寄せて集団で産卵するという神秘的な行動を取るんですが、釣りであちこちの海辺を見ているので、それがすぐ近くの海岸だとわかり、潮回りで日時も特定できた。これは絶対自分の目で見たいと思って現地へ行って、大自然の不思議にガーンと打たれました」
卵を持ち帰って子フグを育て始めたのはいいが、エサなど市販されていない。そこで「ここならあるはず」と、エサを分けてもらいに行った先が、なんと現在の職場である城ヶ島の水産試験場だったのである。
「将来まさかここで働くなんて……タイムマシンがあったら、過去の自分に教えてやりたいですよ(笑)」
クサフグに導かれるように水産関係の大学に進み、地元の海に関わる仕事がしたいと県の水産職に就いた。しかし、最初は背広にネクタイで県庁勤務の日々。
「海とのつながりを絶ちたくないという思いもあって、就職後も月に1回、海に潜って生き物の数を記録する調査を自主的に続けました」
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