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愛知県名古屋市中区にあるNPO法人「地域の未来・支援センター」。理事長の萩原喜之さんは、NPO活動を続けて31年になるスペシャリストだ。現在もリユース&リサイクルを活動のメインに据えた「中部リサイクル運動市民の会」の理事、2005年開催『愛・地球博』でのEXPOエコマネー創設を機に発足した「エコデザイン市民社会フォーラム」の代表理事を兼任し、環境や地域社会について「他人事でなく自分事として考えられるような機会と場」を提供しつづけている。
萩原さんがいまもっとも力を注いでいるのが、2009年にスタートした「豊森(とよもり)なりわい塾」——森を基点とする人材育成プロジェクトだ。これは地域の未来・支援センターと豊田市とトヨタ自動車という、NPO・行政・企業が三位一体となり、「街と里山が一体となった地域循環型社会の仕組みを作り、人と人の心を結び直す」をコンセプトにしたプロジェクトである。2年を1期として30名ほどの塾生を募っている。
事の発端は08年、トヨタの所有する里山の調査と環境教育のリーダー養成について、相談をもちかけられたことだった。いっぽう、05年の市町村合併で広大な森林を抱えることになった豊田市も、国から環境モデル都市に選定され、アクションプログラムを策定中だった。そのとき、萩原さんの脳裏にひらめいたのが、「放置されたままの森と、人と仕事をつなげるための人材育成の場」という、世界に類例を見ない「なりわい塾」の原型だった。
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「豊森(とよもり)の由来は、トヨタ・豊田市・豊かな森です」とプロジェクトの来歴と構想を語る萩原さん。塾の講師には各NPO法人代表や、地元の人たち、1期生など、活動中の人々を招き、自らも講師役を務める
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