千葉県・館山市といえば首都圏の人々の別荘地として名高い。海岸に面した明るい街の雰囲気が絵になるためか、映画やドラマのロケ地として利用されることも少なくない。
しかし意外なことに地元の人々はこの街が持つ大きな魅力の一つになかなか気づかない。黒潮が流れ込む館山の海は温暖で、サンゴの北限域である。とくに砂州を渡って歩いていける離島・沖ノ島周辺ではエンタクミドリイシやキクメイシなどのサンゴが観測できるほか、季節によってはツノダシやクマノミなど熱帯の海に生息する色鮮やかな魚たちを観ることも可能だ。
NPO法人たてやま・海辺の鑑定団の竹内聖一さんは、沖ノ島を中心に、主に子供たちを対象にしたエコツアーを主宰し、館山の海の魅力を伝えている。東京都港区の出身で大人になってから館山市へ移り住んだ竹内さんは、この街では異色の存在だ。
「僕が小学1、2年生のころの東京湾はヘドロの海。きれいとは言い難い場所でした。しかし環境保全活動が活発になったためか、高学年になるころには海が急激にきれいになった。友人と一緒に釣りや潮干狩りに出かけて海に親しみました」
竹内さんの現在の活動は、このときの経験が原点となっている。
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