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「人口が少ない九重町では、環境保護も、人づくりも、なりわいづくりも、皆がかけもちせざるを得ない。それだけに縦割りの弊害がなく、話が早いのです。なにしろ最初の会合に、地域づくりの会はむろんのこと、町長から町議会議長、教育委員会、婦人会、JAまで、30人もの人たちが集まってくれて、突っ込んだ質問がつぎつぎと出た。驚きました。私の夢が、ただの夢想ではなくなった瞬間でした」
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鳥が人生を変えた ── 筋金入りのバードウォッチャーだ
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2004年、NPO法人「九重トキゆめプロジェクト21」が誕生、07年、九重町に「九重ふるさと自然学校」を開いたセブン−イレブン記念財団も、この計画を後押しした。
「福岡市と北九州市にはかつてトキがいたことが記録に残っていますが、残念ながら大分県にいたという記録はまだ見つかっていません。このまま見つからないかもしれないし、もしかしたら100年たってもトキは来ないかもしれない。でも、夢を追う過程で、生き物の宝庫である里山が再生して、里山の大切さを知る子どもたちが育ち、ブランド米やエコツアーで地域経済が活性化するなら、それでいいと思っているんです。これまでおこなわれてきた自然保護、生態系の保全は、いまその場所にあるものを絶滅から守ろうとする運動でした。もちろんそれは正しいのですが、生態学的調査に時間がかかる上に、わくわくするような物語性に乏しいため、運動の輪が広がらず、そうしているうちに生物がどんどん減ってしまっている事例が多いのが実情です。科学的な正しさだけではなく、人々の関心をひきつける物語性があってはじめて、環境保護という車の両輪がそろうのではないでしょうか。私はこれを『夢創造型の地域づくり』と呼んでいます」
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