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「主婦が自転車で移動できる生活圏であること、それに都市近郊でお年寄りの買い物難民が増えているという現実を考えると、2kmというのは、住民のコミュニケーションや輸送コストを含めて効率がちょうどよいサークルなんです。全国に地域の特色を活かした小さな輪が広がっていくと嬉しいですね」
なぜ活動の大本が堆肥作り、それもダンボール箱のコンポストだったのか──21年前、末期がんで余命3カ月と宣告されたお父さんの看病が動機になった。結婚して大阪で暮らしていたたいらさんは帰福、栄養士の資格を持っていたこともあって、日々の食べ物から父親の体質を改善しようと、安全な水と無農薬野菜を探し歩いた。だが、これはというものが見つからない。近年、作物を育てる土の力が衰えていることを知った。幸い食事療法の甲斐あって、父親は2年の延命の後、安らかに息をひきとったという。
「よい土は水を浄化し、抗酸化作用の高い作物を育てます。なにより病んでいる土を変えたかったのが堆肥に行き着いた理由です」 |
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このとき役に立ったのが、長年、自宅の庭木の手入れをつづけてきた、たいらさんのお母さんの経験だった。海岸のそばだったため、植物の育ちが悪い。生ごみや雑草、剪定枝で堆肥を作ったが、なかなか思うようなものが出来ない。あるとき、材料をダンボール箱に移し、しばらくたって開けてみたら、なんと、きれいな堆肥ができているではないか。以来改良を重ねて完成したのが、誰でも堆肥が作れる、現在のダンボールコンポストである。
堆肥作りの基材は、籾殻(もみがら)の燻炭と椰子殻(やしがら)のチップを混ぜたもの。その中に、野菜くず、卵の殻、魚のアラ、肉の骨など、家庭から出る生ごみを入れれば、貝殻以外はバクテリアが分解して土にしてくれる。ダンボールは自然素材だから水分調整も簡単。ベランダでも日当たりと風通しさえよければ、ふっかふかの堆肥ができる。
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