子供たちへの教育にも情熱を注ぐ伊藤さんは、この森を教育でも使えるようにと考えた。隣接する中学校や小学校だけでなく、幼稚園児も安全に自然に触れ合える場所にしようと、森まで続く階段は段差を小さくしている。苦心して整備した水路は子供たちが踏み荒らすことで地形が崩れてしまうことがあるが、伊藤さんはそれでもかまわないという。
「この森は子供たちの財産です。多少地形が崩れてしまったとしても、どんどん触れてもらった方がいい」
近年はろう学校の生徒たちを受け入れ、野外学習を実施している。今後は盲学校の生徒も受け入れ、安全な環境で自然に触れてもらいたいと考えている。
ビオトープの先には、すでに整備された土地の数倍の湿地が広がる。誰も手を入れなかったために荒れ果てた、忘れられた土地だ。伊藤さんは、この湿地にもビオトープを広げ、尾瀬のような風景を作り出したいという。
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