森のすぐそばに建つ「森の生活」事務所。表札がわりに入り口に立っている木彫りのクマ(左)は、スタッフの一人であるチェーンソー・アーティストの作品だ
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「初めて訪ねたときは冬だったので、寒くて暗い感じの町だなという印象で(笑)、やがて下川に住むとは夢にも思いませんでした。民間企業で農山村に関わってみようと、大学卒業後は関西の種苗会社に就職しました。離農するのでもう種を買えないと営業先で言われるなど、高齢化や離農の問題を実感しました。農山村にもっと直接踏み込んで課題を解決したい思いが強まり、退職して北海道に行き、『森の生活』が森林環境教育の担当者を募集していると聞いて、下川に移住したのです」
麻生さんが移住した頃、「森の生活」は変化のときを迎えていた。08年に下川町森林組合からトドマツ精油製造販売事業の移管を受けるなど、活動内容が拡大し、ボランティア団体から事業団体へと舵を切る。奈須さんが町議会議員になって代表を退き、麻生さんが引き継ぐことになった。
「ボランティアでは限界がある、地方だからこそ、仕事を生み出していくことが大切だと、事業型のNPOにする考えが、発足当初から奈須さんの中にはあったようです。僕自身は、『森の生活』の活動が腹の底から頑張れる仕事だったので、下川に来てからは、一つひとつ課題に取り組んでいくことの連続でした」
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