|
|
10年に発足した「まるやま組」は、毎月第二日曜日に行う生きもの調査「まるやまあるき」を活動の柱にしている。調査と観察の後は、山菜や地元の食材を使った「まるやまオープンキッチン」を開く。耕作放棄地を開墾して無農薬大豆や雑穀を栽培し、小学生の野外授業の受け入れもしている。また、奥能登特有の農耕儀礼「アエノコト」の意味をとらえ直し、まるやまで観察される生物多様性を田の神様と見立てる、少し趣向を変えたアエノコトを創案した。このまるやま組のアエノコトは、「生物多様性アクション大賞2014」で大賞を受賞した。
「“待っていると来る”のでマツとクリの枝の依(よ)り代(しろ)を持ち、田んぼのあぜで神様を迎え、家でもてなすいわれがあります。農家でなくても、お米を食べる人みんなで食の安心安全を願い、豊作に感謝するアエノコトを考えました。奥能登の集落では、いまも実際にアエノコトが行われていて、私は家々を訪ねてようすを見せてもらいました。神棚に向かってござを敷き、ご馳走を並べるおばあちゃんが『神様には何か1枚敷かなきゃいけない』と言うのを聞くと、私たちが学ぶべきは形式ではなくて、感謝し、思いやる心の持ちようなのだと気がつきます」
|
|
上=自然と一体化した萩野邸のリビング。まるやま組の集会所でもある。下=この家を設計した夫の紀一郎さんと |
|