「サンゴを守る活動と聞いて参加したのですが、海ではなく、まさかサトウキビ畑に連れてこられるとは思ってもみませんでしたね」と西原さんは笑う。事業終了後も活動を継続しようと、2013年に自らNPOを立ち上げた。
「以前は県内の漁協に勤めていたんです。農家が赤土を垂れ流して海を汚しているという、漁業者の厳しい声も耳にしましたよ」
だが、活動を通じて農家と交流し、陸側の事情を知るうちに、「赤土や農業を目の敵にするのは違う」と、痛感するに至った。
「赤い大地を守ることが、青い海を守ることにつながる。海はもちろん沖縄の宝ですが、赤土もまた大切な島の宝ですからね」
一般に、赤土土壌は農業に不向きとされるが、沖縄を代表する農作物にはサトウキビやシークヮーサー、マンゴー、ウコンなど、赤土を好むものが少なくない。国内生産のほぼ100%を占めるパイナップルは、酸性の強いやせた赤土でないとよく育たないほどだ。これが畑から流れ出てしまうと、漁業者だけでなく、農家にとっても大きな損失となる。「だからこそ、地域全体で連携して対策に取り組まなければならない」と、西原さんは力を込めた。 |