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山あいの美しい畑でブドウを栽培し、ワインづくりに精を出すのは、知的障害者更生施設「こころみ学園」(栃木県足利市)の園生たち。ココ・ファーム・ワイナリーは、彼らの社会的自立を目的に1980年に設立された。
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BG
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「園生たちは毎日、黙々と働いています。急な斜面を登り、一房ずつ丹念にブドウを手入れし、選り分け、よい実だけを使う。どんな重労働でも手を抜きません。ワインの出来はブドウで決まりますから、彼らの一所懸命さがなければ、うちのワインの質はとても保てないでしょう」
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着色期(ベレーゾン)を迎える前のブドウ。夏の強い陽射しが健康な実を育て、ブドウ本来の味を引き出す
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ワインづくりを指導するために、ブルースさんが米カリフォルニアから招かれたのは17年前のこと。最初は6カ月間の約束だったという。それがいまでは同社の醸造責任者として地元足利に居をかまえ、流暢な日本語も話すようになった。世界的にも著名な醸造家がなぜこの地を選んだのか。
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BG
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「『障害者がつくるワイン』というだけでは意味がない。世界に通じる本物のワインをつくって彼らに自信と誇りをもたせたい」というこころみ学園の理想に共感したからです。ワインは、私にとって人生そのものですが、一般の人はワインがなくなっても困らない。結局は嗜好品、贅沢品ですからね。でも、ここでつくられるワインは、社会で働く道を閉ざされた園生の生きる糧になるんです。私は福祉の専門家ではありませんが、ただ彼らとともに大地を耕し、ブドウを育て、ワインを醸すことにとても大切な意味があるということだけは理解できる。だから、ここにいるのです」
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