生まれてすぐに、隣町の猟師さんから譲り受けた犬です。福井県の林業家の方にセミナーでお会いしたとき、獣害対策犬が有効であると聞いたので、その方に1カ月ほどQ太を預けて訓練していただきました。Q太が1歳半のときです。人間には絶対噛みつかない、よその飼い犬や飼い猫に吠えない、よその家に入らない、といったルールを教え込みます。シカの追い込み方などは、仲間の犬たちが教えてくれたようです。複数の犬と行動を共にすることで身につけるんですね。
夜9時前後に、猟犬用のGPSをQ太につけてパトロールに出ます。軽トラに乗せて山のほうへ行き、リードを外します。シカの臭いを感じると、あっという間に追いかけていきます。スカイツリーぐらいの高さの山の頂上まで、ほんの20分ぐらいです。犬というのは本来、走る動物なんだなとつくづく思います。車で並走すると時速35kmぐらいで走っていますから、陸上の100mを走る選手と同じぐらいですね。
パトロールの範囲は、いつも同じエリアを一緒に歩いて、縄張りとして覚え込ませました。私が「帰るぞ」と言ってUターンするのを繰り返すと、ここから先は行ってはいけないんだと認識するようになります。エリア内でも昼間は放しません。出会った人をびっくりさせたくないので
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