「伊良部のカニは世界一美味しい!」と。でも、それ以上に驚いたのが、子供の頃に遊び回った入り江や砂浜が、恐ろしい勢いで失われているという現実でした。こんなに美味しいカニが獲れるんだから、カニの存在をもっと広めることで、彼らが生息できる環境を守れないだろうか──そう考えてカニ漁師になり、養殖やマングローブ体験ツアーを始めたのです。島に生まれて生活している人ほど、この奇跡のような自然を当たり前のことと考えるんでしょうか、環境の変化にはあまり危機を感じていないような気がします。当時はよく笑われましたよ。「安定収入を捨てて、なぜ漁師になったんだ。カニでメシが食えるか」と。