|
── |
「琵琶湖の漁は“待ち”の漁」だと戸田さんはいう。琵琶湖では魚群探知機や集魚灯も禁止されていて、人が魚を追い回す、動きのある漁法ではない。エリもコイトも、網を仕掛けておいて魚がかかるのを待つ漁だ。
|
戸田 |
琵琶湖は日本最大の湖というからには広いように思いますが、海に比べればはるかに狭い。フナもアユもモロコも、その狭い中で産まれ、子を残して死んでいくんです。その限られた場所で、たとえば底引網みたいな漁で、みんなが根こそぎ獲ったらどうなるか。
以前、琵琶湖の水流と魚の動きの関係を研究されている学者の方に、「研究すれば、この時期に、この場所で、網をこう仕掛けたら誰でも絶対に獲れるという解答が見つかりますよ」と言われたことがあります。私は生意気にも、「申し訳ないけれど、もしそれがわかっても私は聞きたくないし、他の琵琶湖の漁師にも教えないでください」と答えたんです。先生、困っておられましたけどね(笑)。
“広くて狭い”琵琶湖で、魚と漁師が一緒に生き残っていくには、わからんことはわからんままにしておくくらいでちょうどいいと思うんです。漁師も失敗を繰り返さんと腕が上がらんし、だいたい最初から答えがわかりきっている漁なんて、面白くも何ともないでしょう。 |
|
|
ホンモロコの煮つけ。骨まで軟らかいから子供でも丸ごと美味しく食べられる。ホンモロコは近年、漁獲量が減って値段が上がり、地元の家庭の食卓にも届きにくくなった
|
作り方は、①鍋にしょうゆ・砂糖・酒を入れて煮立てる。水はいっさい使わない(左上)。
②煮立ったところにホンモロコを入れて強火で炊く(右上)。
③煮汁がねっとりと煮詰まってきたら出来上がり(左) |
|
|