チマキザサとはクマザサの一種です。標準和名ではチュウゴクザサですが、これはチャイナの意味ではなく中国地方の意味。日本海側の寒冷地を中心に生息地が広がっています。そのためこの植物自体は珍しいものではないのですが、京都の北方にある丹波高原に生えるチマキザサは特別に香りがいい。葉に生える毛もないため肌に触れても不快感がありません。以前和菓子職人の協力を得てどのササの香りが良いと感じるか「利きササ」をしたことがありますが、多くの職人が京都産のチマキザサを高く評価しました。実際に成分分析をしてみても、丹波高原のチマキザサの香りが良いという結果が出ている。ササが生える環境が良いのか、切って天日干しにするという加工の過程が適しているのか、はたまたそこに生えるササ自体の質が良いのかまだわかりませんが、とにかくこのあたりのチマキザサは特別なんです。このことは1680年代に記された『雍州府志(ようしゅうふし)』というガイドブックのような本にも書かれており、粽の項目には「篠葉出自洛北鞍馬山。他産不堪用(=他産のものはつかえない)」と記されています。