日本に住むことは子供のころからの夢でした。私が住んでいたカナダのバンクーバー島には、日本から様々な漂着物が流れ着きます。その一つに下駄がありました。「ブックスタンドか何かだろう」と思い、持ち帰って大切にしていたら、後日テレビで履きものだと判明。日本はなんて面白いところなのだと、憧れを募らせていきました。
大人になり住む場所を選べるようになると、迷わず三英傑の出身地である尾張国(おわりのくに)へ。南山大学で学びながら、映画の翻訳やコラムの執筆などで生計を立てていました。コラムでは日本語と英語の文化の違いなどを取り上げ、地元の新聞に寄稿していたのですが、それがやがて『ジョンさんのナゴヤ日記』として出版されることに。このサイン会で運命の出会いがあったのです。来訪者に重度の身体障がいをもつチャレンジャーの女性がいて、「世界一大きな樹に登りたい」という夢を語ってくれた。僕は子供のころの素晴らしい経験を思い出し、一も二もなく“Yes, I can help you”と言ってしまいました。