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50歳を機に、固定種のネット通販一本で勝負することを決めた。タネは、各地にかろうじて残る採種農家や種苗業者から仕入れるほか、自身も父の代からの山の畑でタネ採りを続けている。 |
野口 |
「全日本蔬菜(そさい)原種審査会」で農林大臣賞を連続受賞した「みやま小かぶ」をはじめ、地元野菜の「のらぼう菜」や地這胡瓜(じはいきゅうり)のタネなどは、いまでも自前で採っています。不揃いでも、味がいい固定種の野菜は、家庭菜園にはぴったりです。生育速度がまちまちなので、旬の味を長く楽しめるのも魅力ですね。うちで固定種のタネを買ったら、ぜひ自分でタネを採ってみてください。タネの袋に採種法も載せていますので。固定種の一番の長所は、その土地に適応した健康な野菜を作れることです。それは、タネのもつ生命力の発露にほかなりません。「一粒万倍」という言葉がありますが、健康なタネは一粒まくと1年で1万粒、2年で1億粒、3年で1兆粒に増えていくものなんです。タネの力って、すごいんですよ。 |
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野口種苗を中心に県内の種苗業者が三者共同で育種した「みやま小かぶ」のタネ。肉質が緻密で甘いのが特長
Profile
のぐち・いさお 1944年東京都生まれ。65年大学を中退し、虫プロダクション出版部に入社。手塚治虫の担当編集者などを経た後、30歳で祖父の代から続く家業の種苗店を継ぐ。現在は固定種のタネに特化し、年間400〜500種類をインターネット通販で販売する一方、各地の伝統野菜の復活・普及に力を注ぐ。著書に『タネが危ない』『いのちの種を未来に』など。 |
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