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ワカメやコンブなどの海藻類には水溶性の食物繊維が豊富に含まれることはよく知られているが、アカモクの値はほかの海藻にくらべてずば抜けて高い。このアカモクの機能性食品としての有用性を見出したのが、半世紀近く松島湾の水質改善に取り組んできた佐々木久雄さんである。 |
佐々木 |
夏になると、よく海岸に打ち上げられている海藻ですから、みなさんもよく見かけると思いますよ。秋田ではギバサ、山形ではギンバソウ、岩手はジョロモと、呼び名は違いますが、一部の地域では昔から好んで食べられていた海藻です。あのねばねば成分には、高血圧や糖尿病など生活習慣病を防ぐ作用のみならず、抗ウイルス効果や抗がん作用があることもわかりました。 |
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アカモクの栄養価が注目され始めたのは、2000年に入ったころ。だが、佐々木さんがアカモクに目をつけたのはその数年前、それも食材としてではなく、その驚異的な海水の浄化能力だった。 |
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佐々木 |
私が大学を卒業して宮城県庁に入った1972年は、ちょうど公害が社会問題になっていたころで、松島湾も例外ではありませんでした。260あまりの島々が外洋の波を遮っているので、水深が2〜4mと浅く、流れも穏やか。それがかえって仇になった。流れ込んだ工場排水や生活廃水が滞留して、赤潮が頻繁に発生したんです。当時私は、公害規制課で工場排水の規制を担当し、のちに保健環境センターという部署に移って水質改善の研究に携わるのですが、この間、県が下水道を整備したり底泥の浚渫(しゅんせつ)をしても、なかなか水質は改善しない。ノリの養殖は打撃を受けるし、アサリも激減した。そんなとき、ある漁師さんが『このごろ海藻を見なくなった』というのを耳にしましてね。そういえば秋田のハタハタが獲れなくなったのも、現地でアカモクが消えた時期と一致する。ひょっとすると、アカモクの藻場を増やすことで海を浄化できるのではないか、と。 |
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