そのようです。ハチクマに発信機をつけて追跡したとき、五島列島から海上に出たあとも、旋回して旋回して、ちょっと流れて……というのを繰り返していることがわかりました。そういう飛び方をすると、目的地に到達するのに時間がかかりすぎるように思えますが、そのほうがエネルギーを使わなくて楽なんでしょうね。
タカに限らず、渡り鳥は海に出ようとするときには勇気がいるようで、ためらう様子がよく見られます。いったん海に出てしまうと、飛び続けるしかなくなる。休むこともエサを食べることもできませんからね。そこで、最短距離にするために、いよいよここから海に出るしかない、というところまで行って、そこから一気に飛び立とうとするわけです。運悪く風が強かったり、気流が悪かったりすれば、飛び立てません。岬のような突き出た場所が渡りの観察スポットになるのは、そこが海へ出ようとする鳥たちが最後に通過する場所だからです。愛知県の伊良湖(いらご)岬はその典型です。